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エコツアーレポート

2019.11.24

ものづくり歴史探訪体験

蔵カフェで金継ぎ体験

飯能駅からゆっくり歩き20-30分、道路に面しているが少し奥まったところに立つ白い蔵。普段はコーヒーや甘味を頂くことのできる草風庵の2階が今回の会場。道路に面しているが、少し奥まっている上に蔵の防音効果が相まって、車の通る音はあまり聞こえない。街中でありながら静かで、心の落ち着く空間だ。

講師は草風庵オーナーの粕谷さん。古美術の師匠から「これを読んで勉強しろ」と渡されたのが金継ぎの本だったという。何度も繰り返し読んだが、「これは実際にやらないと分からない」と金継ぎを始めたのだそうだ。粕谷さんの元へは「これを直して欲しい」と思い出の品を持ち込むお客が絶えない。中には買い直した方が遥かに安いものもあるというが、やはり「家族からの贈り物だから直して使いたい」という要望が強く、それに応えるために修復を行う。助手の三好さんは、「金継ぎを体験すると、食器が割れた時の気持ちが変わりますよ。妻がよく皿を割るのですが、『でかした!』と思わず言います。割れ具合やヒビの入り方は毎回違う。今回はどんな形だろうと楽しみになるんです。おおらかになりますよ!」と参加者の笑いを誘った。

参加者はそれぞれ欠けてしまったりヒビの入った器や置物を持参していたが、中には50年前のものになるという朱塗りの器をお持ちになったご婦人もいらした。もちろん、持参するものがなかった方は、体験してもらうための器が用意されている。本来金継ぎは1つ完成させるために3ヶ月程度時間を要する。本漆を完全に乾燥させる時間が必要だからだ。今回は1日体験なので扱いやすく乾燥の早い人工漆を用いて1日(4時間、食事付き)で全工程を楽しんだ;①初めに欠けの補修をパテとやすりで行う、②筆を使ってヒビ割れを漆で補修、③乾燥、④2度目の漆、⑤漆の上に金粉を筆で振う、⑥完全に乾燥させて完成!。

線が細ければ細いほど見た目が美しく仕上がるが、なかなか筆で均一かつ細い線を描くのは難しい。参加者全員、黙って真剣に器と向き合っていた。乾燥を待つ間も、1階で昼食を頂いたり、近隣を散歩するなどして楽しんだ。

物を大切に使っていきたいという思いや、欠けたものこそ美しいといった日本の美意識について学び、触れる時間だった。なお、草風庵ではエコツアーだけでなく、毎週日曜日に金継ぎの教室を定期開催しているので興味のある方は是非こちらでも体験して頂きたい。

 

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