Ecotour Reports
エコツアーレポート
2021.10.17
古民家や路地の魅力を満喫!飯能まちなか散策ツアー

2021年10月17日日曜日、関東はぐっと気温が下がり、秋が本格的に深まった。
飯能も今季初めて最低気温が10度を切り、日中も長袖にさらに上着をまとって心地よい…そんな日に“まちなか散策ツアー”が開催された。
今回のツアーは3時間弱、全長3キロ程度の限られたエリア内にある歴史的建造物や路地を見るもの。
解説は“飯能まちなかを元気にする会”の浅野正敏さん。
一級建築士の浅野さんは、飯能市内の建造物の調査や保全に長年携わっている方だ。
飯能銀座商店街に入るとすぐ、建物の上を指差す。
四角く直線が続いているように見えた建物の上部には、アーチ状の飾りがあった。よく見ると隣の建物にも、わずかに同様の飾りが見える。
これは大正時代に建てられた建造物の名残で「看板建築」といい、木造建築の正面部分だけを不燃材料で覆って装飾を施した建築なのだそうだ。
普段、ここまで空を仰ぐように商店街を歩くことはないので、気づかなかった。車に乗っての移動となれば、目に入ることもないだろう。徒歩ならではの楽しみ方ではないか。
説明を受けて、次のスポットへ移動する。とはいっても、ほとんどは100mも歩けば着いてしまう。ちょこっと歩いては止まり、の繰り返し。
それだけ、市街地には歴史ある建物と街並みが残っているということだ。
今回案内頂いた建造物は明治初期から大正、昭和にかけて建てられたもの。
現在も店や個人宅として使われていたり、持ち主が手入れをして残されている。
しかし、「ある日突然、建物が無くなっていることもよくあるのです」と浅野さんは言う。
確かに、私が飯能で暮らし始めた14年の間にも、消えてしまった建物がいくつもある。
その度に、古きものを引き継ぐことの難しさを感じて、切なくなる。
私たちが今街の景観として楽しませて貰っている風情ある建物らも、いつ失われるか分からない。
同様に、人が2人並んであるけるかどうか…という細い路地も、家の改築や道路の整備によって少しずつ減ってきているという。
家の造り、長屋、井戸、家と家の距離、そして路地のうねり。
かつての街の賑わいと、人々の関係を想像しながら歩く街歩き。
流行りのものは無くとも、ここには何代もの間愛され今に繋がれている物と味がある。
雨は色褪せた歴史ある建造物に艶を与え、晴れの日よりも魅力を増して見える。
こんな日の街歩きも悪くない。