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エコツアーレポート

2020.10.25

自然観察体験

天覧山麓で”かい掘りするぞー”ツアー

エコツアーにはいつも生き物や自然の知識が豊富なガイドがいる。
一応私も写真については詳しい方だという自負があるけれど、しかし彼らガイドには全く敵わない。なぜなら、生き物・自然は当然ながらカメラなどより圧倒的に種類が多く、そして誰にとっても身近な存在だからだ。

今回のエコツアーの主催者であるNPO法人天覧山・多峯主山の自然を守る会(通称、てんたの会)のメンバーも、そんな知識豊富なガイドの方ばかりだった。
てんたの会は、1995年、当地の開発計画をきっかけに結成。生き物が多く生息し、貴重な自然が多く残された天覧山・多峯主山(とうのすやま)を後世に残すために開発から守ろうと志を同じくした市民が集まり、それぞれの個性や力を発揮しながら創り上げた自由で自主的な市民団体だ。

メイン会場である天覧山の麓にある池までは、山の入り口から5分程度と近い。ちょうど先週オープンしたばかりのOH!を横に眺めながら、エコツアー参加者は汚れても良い装備で山へ入る。天覧山にはムササビも生息しており、木には彼らが休む木のウロや巣箱を観察することができる。綺麗に整備された山道を少し歩くと、開けた斜面が右側に現れ、そこには何やら素敵な山小屋2つ。てんたの会のメンバーが手作りで作った小屋とピザ窯があった。

ここは谷津田。かつて棚田状の田んぼがあった場所。その一番上段を埋めて広場を作り、てんたの会が基地を作ったのだ。下段にあたる田んぼ跡地が池となり、ほとけどじょうをはじめ様々な生き物が生息している。我々は代表の浅野さんからてんたの会の成り立ちを伺い、島田さんの案内で既に水を抜かれた池へと向かった。

一見すると足首程度で歩き回れそうな泥。しかし、一歩踏み入れたとたんにあっという間に膝まで埋まってしまう深い沼だった。生き物観察のためのザルを片手に沼にハマる参加者数名。一度ハマればなかなか自力で抜けることはできない。大きなカブの如く、脇を掴んで引っ張り抜く。沼にはまるとはこのことか!と皆で笑いながら、夢中で泥の中の生き物を探して回った。

生き物観察の後は、かい掘りだ。池の底に溜まった泥をひたすら掻き出す。水をたっぷり含んだ泥は重い。棚田の上の方からは、「おーい、お昼のピザを作りますよー!」と声がかかるが「えー私こっちがいいー」と食より泥が好きな参加者の皆様。これには思わず笑ってしまった。

とはいえ、作らなければ食べるものはない。参加家庭の中から1人がピザ作りへの移動し、生地を伸ばし、トッピング。2時間以上温められ準備が整った手作りのピザ窯の中へ入れると、なんと3分ほどで絶品ピザの出来上がり。秋晴れの空の下、泥遊びのあと満腹になるまで食べたピザがとても美味しかった。

大人の秘密基地を堪能し、帰りはまたきらびやかな建物の横を通った我々。
「あらー素敵なカフェ!」と言いながらも、自然を堪能し泥だらけになった姿も誇らしく帰路についた。