Ecotour Reports
エコツアーレポート
2024.07.13
ニホンヤマネのお宿の確認・清掃作業ツアー

飯能市原市場地域で“やまね酒造”という酒蔵を営んでいる若林さんは、生き物の観察のために国内だけでなく世界各国を訪れている方です。飯能高校の先生、生物学系の学生、若林さんの学生時代の研究室の後輩とともに、飯能の生き物の生態について伝えるツアーを日頃から実施しておられます。今回のツアーは、日本最古参の哺乳類であり510万年前から日本に生息し、生きた化石とも呼ばれているニホンヤマネの巣箱を観察するのが目的です。
ムササビが座布団サイズに対して、ニホンヤマネはハンカチサイズと小柄です。背中に黒い縞が入っている点が特徴です。
古くから日本に生息し続けているニホンヤマネが生きる森は豊かさの象徴でもあります。しかし、その生態は謎に包まれていることが多いのだそうです。なぜならば、ニホンヤマネは絶滅危惧種に指定されており、たとえ研究者であっても触れることが出来ないからです。個体を識別するためのチップやマークを取り付けることも不可能なので、写真や動画で記録を行い、ニホンヤマネの特徴である背中の黒い縞の形を元に個体を識別するしかないのだそう。そのため、彼らの生態を知るためには巣箱に持ち込まれた巣材を集めて観察をすることがとても重要となります。巣材の中には、材料となっている苔・地衣類・樹皮などの他に体毛や糞があります。体毛からは巣箱を使っているのが本当にニホンヤマネであるのかを知るために役立ち、糞はその内容物から一体何を食べているかを知ることができます。こうした地道な調査を現在筑波大学の先生と共に実施しておられ、さらに来年2025年には、日本初となるニホンヤマネの生体観察することのできるフィールドミュージアムを作ることも計画していると伺いました。
実際に設置されている“やまねのお宿”の観察へ森へ出かけると、転々とさまざまな高さに取り付けられた塩ビ管のお宿がありました。今回は残念ながらニホンヤマネと出会うことは叶いませんでしたが、巣材の入った“お宿”を1つ掃除することが出来ました。もし、より本気でニホンヤマネを見るためには早起きをして巣箱をチェックした方がよいそうです。
やまね酒造さんの企画するエコツアーは2024年2月に環境省が実施する第19回エコツーリズム大賞にて特別賞を受賞しています。宿泊も可能ですので、ぜひ飯能の自然を泊まりがけで体験してみてはいかがでしょうか。かわいいニホンヤマネに出会えるかもしれませんよ。